皮膚の病気について
皮膚の病気は多岐に渡ります。
皮膚は目に見えるのだから診断ができて当たり前と思われているかもしれません。
確かに見た瞬間答えに至ることも有りますが、多くの情報はむしろ患者さんからの問診や検査により得られています。
見た目と問診や検査から得た情報を総合し、より確かな診断に結びつけます。
患者さんのお話を頼りに診断にいたるケースも多いので、何でもお気軽にお話して下さい。
一般皮膚科の対象疾患
●良性の腫瘍(できもの)
黄色腫
脂血症がある方が成り易い黄色味のあるできものです。眼瞼や関節部にできます。
脂漏性角化症
シミやイボと言われる事が多いでが、皮膚のエイジングによりできる腫瘍です。液体窒素を強くあて、手術的に摘出することが可能です。
粉瘤
中心に穴の様なものあるいは黒い点があり周囲が比較的固いコロコロしたものが触れたらそれが大体粉瘤です。一番多く手術されている腫瘍です。皮膚の中には袋状の膜がありその中に垢が貯留していき大きくなり、やがて袋が破け炎症がおき激しい痛みになります。何度も炎症を繰り返しているものより炎症をおこしたことのない腫瘍の方が簡単に摘出できますのでコロコロしてきた時が取り頃です。
手術は局所麻酔を周囲に注射して穴あるいは黒い点と共に袋を取り出します。皮膚を舟状に切って腫瘍を取り出す方法や小さな穴を開けて内容物を取り出してから袋を取り出すくりぬき法が有ります。小さいものではどちらも綺麗な傷跡になります。大きいものではどちらにしろ内容物は排出させた方が傷が小さくなります。平らな傷にしたい方は舟状で切除する方法をやや凹凸ができてもさらに小さい傷にしたい方はくりぬく方を選択すると良いと思います。
血管拡張性肉芽腫
顔、手等に赤く盛り上がるできものがでてきます。擦れると出血します。
感染に伴うもの、反応性のもの等様々です。治療は外用、冷凍凝固、摘出術が有ります。
脂肪腫
脂肪細胞が増殖する出来物です。手術で取りますが、背中は境界明瞭なものが多く首は不明瞭なものが多い印象です。被膜に沿って丁寧に全部取りきらないと再発します。
肥厚性瘢痕・ケロイド
傷やピアスの挿入部が盛り上がってくる病気です。原因により再手術や、圧迫、ステロイドの治療が主です。
●悪性の腫瘍(できもの)
基底細胞癌
顔に出来やすい悪性腫瘍です。色が黒い事が多くメラノーマと思い来院される方がいます。先ずはダーマスコピーで診察し必要に応じて皮膚生検をします。多くは取り切れてしまえば問題のないものですが、一部に深くまで浸潤していくタイプがあり、そのタイプでは大きくとる必要が有ります。
光線角化症(日光角化症)
主にシニア世代の顔や手等の露光部に発症します。赤みにガサガサした角化があるのが特徴です。一部も発症することも有りますが、広範囲に発症することも有ります。上皮内癌と言われ、非常に浅い部分にあるので今日はイミキモドと言う外用が治療の第1選択です。長年放置していると有棘細胞癌という転移もするような癌に変化してしまいます。
パジェット病
乳房や陰部に発症する皮膚がんですが、発生する場所が人に見せる事が恥ずかしい場所なので長い間放置されていたり、湿疹と似た皮疹なのでステロイド外用で長い間経過がみられていたりし、診断の付くころにはかなり広範囲な皮疹ができてしまうという事が少なく有りません。ステロイドが効果のないプライベートパーツの皮疹はこの可能性が有りますので恥ずかしがらずに診察を受けましょう。
悪性黒色腫
日本人では比較的まれな癌ですが、日本人の中では手や足に出現するのが多い癌です。 早期発見、早期治療が肝要なのは言うまでも有りません。ダーモスコピーという拡大鏡で詳細な検討をして診断します。